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切り開く力

切り開く力
内藤です。
個人的に内藤が敬愛してやまない高濱正伸先生(花まる学習会代表)が、ついにサッカー教室の事業に進出されるそうです。そのパートナーには、香川真司選手をはじめとする一流サッカー選手たちが脇を固めています。長年、先生の理念に感銘を受け続けている私としては、師走の慌ただしい時期にあっても好奇心を抑えるのが難しいニュースです。

さて、今回はそのサッカー教室をおすすめしますよ・・・という話ではありません。
富ヶ谷サッカークラブの指導方針についてお伝えするのに、高濱正伸先生のお考えは大変に通じるものがあり、そのご紹介をしたいなと思った次第です。

高濱先生が始めたサッカー教室事業”HANASPO”で掲げているコンセプトに、大変興味深いフレーズがありました。
それは、「身体能力や技術に頼らない工夫力」というテーマです。

実はこれ、富ヶ谷サッカークラブでも大切にしているテーマなんです。
サッカーは考えるスポーツであるということを、保護者の皆様にも折に触れてお話させていただいております。この2つはまさに同じベクトルの話だと思います。

富ヶ谷SCに集まる選手たちは、必ずしも卓越した身体能力の子供ばかりではありません。御存知の通り、もともと身体能力の高い子供たちは区内最強の肩書を持つ某クラブに集まる傾向があります。

それだけに。そういう構図の中で、ほぼ単独小学校を主たる構成ベースとしている富ヶ谷SCが、渋谷区の大会で某クラブを破り破竹の快進撃を見せてくれるとき。指導者はもちろん、保護者の皆様も最高の感動を体験することになります。

このジャイアントキリングを成立させているのは、決して運などではありません。
子供たちが自分の頭で考え、ポジティブにゲームに挑戦するマインドこそがそのファクターだと考えています。

先日、4年生のソウルが練習中のミニゲームでゴールキーパーをしていました。
ゴールキックで受け手に動きがなかったため、彼はキックの出しどころに苦慮していました。周りからは、「早く蹴って!」と焦らせる声も。それでも彼は冷静に周りを見渡し、中央で佇む味方ディフェンスの選手2名を両サイドに散るよう指示を出しました。それにつられて相手チームのFWは両サイドに引きづられていきました。モーゼの十戒のごとく中央にできたパスコース。迷うことなく彼はそこに前線につながる値千金のゴールキックを放ちました。

なんという素晴らしい工夫。
内藤や他のコーチが指示をしたことではありません。
自分の工夫で苦境を切り開くことができるという成功体験。これこそ、富ヶ谷SCのすべての子供たちに手に入れてもらいたいテーマです。

大人は知識や経験ですでに答えを知っています。だから、子供にその答えを教えるのは、とても簡単なことです。
そこをぐっとこらえて、子ども自身に答えを見つけさせ、道を切り開いてもらう。

これからの長い人生の中で、自分で道を切り開くことのできる大人になってもらうために。
富ヶ谷SCでのそうした時間の積み重ねが、その礎のピースになることを信じています。