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【大会総括】4年生春季区民大会決勝リーグ Bチーム

【大会総括】4年生春季区民大会決勝リーグ Bチーム
内藤です。

4年生決勝リーグ、Bチームの総括です。
SVリーグの3チームで総当り、2試合が行われました。試合前、選手たちには「勝利」を勝ち取ることを目標に掲げてほしいと伝えました。予選リーグでは4戦4敗でした。今大会、このチームはまだ勝利の喜びを味わっていません。

予選リーグでは堅守速攻のサッカーをおすすめし、フォワードの選手に求められる忍耐と信頼について体験してもらいました。あれが9月のことです。その予選リーグで浮き彫りになった課題は、「止めて、蹴る」という基本が身についていないことが、彼らから余裕を奪い取り、ゲーム中の思考停止につながっている可能性があること、でした。約2ヶ月強の期間、彼らには「止めて、蹴る」の練習を集中的に行ってきました。


■第1試合 vs 渋谷セントラルC
0 - 0 △
前半は防戦一方の展開で、得点のチャンスはほとんどありませんでした。その展開の中で失点がなかったのは、CBのリョウ、そしてGKのスザクの活躍によるところにほかなりません。安定感あるディフェンスに、ベンチからも喝采の声が上がります。後半になると、戦局は一転します。目に見えて富ヶ谷の攻撃の時間帯が増えたのです。その理由は、後半から入った3年生、ユウキ、ユキヤ、ケイによるものでした。CBのユキヤは、冷静に相手FWをかわしてからLMF(左ミッドフィールダー)のユウキにパスを繋ぎます。ユウキは相手陣内にボールを運び、絶妙なタイミングで飛び出すケイにボールを供給しました。この3人の連携が、富ヶ谷のムードを一変させたのです。残念ながら、得点そして勝利には結びつきませんでしたが、その存在感はとても頼もしいものがありました。

【評価選手】
スザク(GK)
まだまだ体の小さな小学生にとって、試合用のゴールマウスはかなりの大きさです。その枠内に飛んできたすべてのシュートをとめきるというのは、簡単なことではありません。第2試合ではフィールドプレーヤーとして大活躍した彼は、この日とっても光り輝いていました。



■第2試合 vs 渋谷セントラルD
1 - 1 △
試合を重ねていくと、チームとしての一体感が高まっていくものです。4年生Bチームについても、4年生と3年生の距離感が縮まってきているのを感じました。個人それぞれが勝利を目指すのではなく、チームとして勝利を目指す、そういう雰囲気です。前半の終わり頃だったか、ベンチに座っているケイがとなりの選手にこんな事を言っていました。「俺たちも、(試合に)出る準備しとこうぜ!」と。明らかにチーム、そしてチームの勝利を意識した発言だと思いませんか?
ベンチにいる選手は、「コーチ、僕次出れる?」「あー、試合出たい・・・」「寒いので試合出してください!」「今日何時に帰れますか?」みたいな発言が多いです。かつてのケイももちろんそうでした。なんという成長ぶりでしょう。このような、フィールドの外で気づく選手の成長ぶりは、僕たち指導者をわくわくさせてくれます。

さて、フィールドの中のお話があとになりましたが、もう一つフィールドの外の話です。
試合前、シオが打ち明けてくれました。試合になると、緊張して落ち着いてプレーすることができない、と。ミスをしちゃうかもという不安で楽しくサッカーできてないかも、と。実は予選からその傾向に気づいていたので、良い機会だと思い、シオや他の選手にむけて話をしました。
「自分のところにボールが来たら、”相手に取られちゃったらどうしよう?自分のせいだって責められるのがこわい。"そう思って焦って適当に前に蹴ってしまうことがよくあるかな?」その問いに、思ったとおり何人かの選手が手を上げました。
「では、次の試合で自分のところにボールが来たら、取られてもいいです。取られてもいいから、まずはまわりを見てみて。その上で、なにかできることがないか考えてみよう。取られてしまうことより、何も考えないでプレーをしてしまうことのほうが、監督は良くないと思うから。」
何人かの(決して少なくない)選手たちの、不安と焦りで失った「視界」を取り戻してもらうことを、この試合の目あてに加えました。

試合が始まりました。この大会ではじめての勝利を勝ち取るには、この試合が最後のチャンスです。序盤から、富ヶ谷のボールは落ち着いたパスワークでしっかりとつながっていました。CMF(センターミッドフィールダー)セイノスケは、いつになく積極的なプレーで、相手陣営深くでボールを奪い、パスやドリブル、シュートをチャレンジしていました。シオにも、明確な意志のあるプレーが散見されました。ボールを受け取ったときに向いていた方向と違う方向にパスを出せていたのが、その証拠です。
こうしてゲームは富ヶ谷のペースで進み、いよいよ決定機が訪れます。
中央をドリブルで持ち上がったユキヤが、絶妙なタイミングで前線のスザクにパス。スザクは素晴らしい加速力で走りながらそのボールを受け、ゴールキーパーの届かない位置にシュートを決めました。

素晴らしいゴールに沸き立つ観客席とベンチ。ついに、この日の目標である、勝利を手に入れられる。そういうムードになってきました。
しかし。そううまく行かないのがサッカー。
その後、相手のカウンターを2回受けることになります。1度目は、GKのコウタがナイスセーブ。ですが、試合終了3分前のカウンターからは点を守ることができませんでした。1-1に追いつかれ、そのままドローとなりました。

■得点者情報 ※()はアシスト
スザク(ユキヤ)

■評価選手
シオ
試合後、「あー、この試合、楽しかった。」と言っていたのが印象的です。ボールを止めてまわりを見る(止める前にまわりを見る、は次のステージとして)。アイデアを自主的に思いつき、選択、判断する。だからこそサッカーは楽しいんです。ボールという名の責任のなすりつけ合いなんか、誰だって楽しいはずがないんです。彼女が、サッカーの試合の楽しさに今一度ふれあえたのであれば、とても素晴らしいことだと思います。彼女には持ち前の身体能力の高さ、思考力の高さ、空間把握能力の高さがあります。今後の彼女の活躍が楽しみです。