【大会総括】4年生B 春季区民大会予選
内藤です。
春季渋谷区民大会予選、4年生Bチームのふりかえりです。
4年生8人、3年生6人の14人で挑みました。
初戦の前に、選手みんなに今日はどんなサッカーをしたいかを聞きました。
何人かが「楽しいサッカー」と言いました。
「楽しいサッカーって?」と聞き返すと、チームワーク、という声がちらほら。内藤の問の答えの多くがチームワークだということを見越したふわっとした回答に、思わず笑みがこぼれます。
内藤からは、「楽しいサッカーにはチームワークが必要だよね。それともうひとつ。本気で挑むこと。そうじゃないと楽しめないよ。」と伝えました。昨年の4年生(現5年生)チームにも同じことを話していたことを思い出します。
チームワークの成立には、表面的にはたがいにケンカしない”和の精神”も一つのポイントですが、前提として明確な役割分担の共通認識が大切だと考えています。
今回は、全試合でフォーメーション3-3-1、堅守速攻(カウンターサッカー)の戦術プランをオーダーしました。
みんなで守りきり、あわよくばカウンターで得点を。これは弱者のサッカーと言われることもありますが、いまでも世界的に根強く採択される、”常にトレンディ”と言われる戦術です。
(今ではパスとドリブルで組織的に攻撃をビルドアップすることを目指しているAチームでも、かつて採用し勝利を量産していた戦術です。)
そう、今回のBチームには、かなり具体的な(とてもベーシックなものですが)チーム戦術を求めて望みました。実は前大会の決勝リーグで、Bチームのみんなに初めて、「トップ(フォワード)が下がってはいけない理由」を説明しました( https://tomigaya-sc.school.tm/news-detail/73 )。
1年の時が経ちましたが、ふたたびそのおさらいと応用にトライする4戦のチャレンジとなりました。
4年生Bチームはディフェンシブ(守備的)な選手が多いのが特徴です。そこで、3年生の補強選手は、GKとCBの得意なユキヤ以外の5名は、いずれもオフェンシブ(攻撃的)な選手を招集しました(リョウは今回もDFとして起用していますが、攻撃の起点となるボランチ的な役割を期待しての起用です)。
そんな3年生の多くは、試合の際はトップもしくはセンターハーフ(セントラルMF)を希望します。トップもしくはセンターハーフが、上手い選手、かっこういいポジションというイメージがあるためです。しかしながら、トップとセンターハーフの具体的な役割の違いを説明させようとすると、ふわっとした回答しか返ってきません(「えっと、一番前と、その後ろ」 etc)。
今回、3年生のオフェンシブ組のみんなには、その違いをはっきりと体感してもらおうと考えました。
それを理解するためには、堅守速攻の戦術プランは最適と考えています。
ディフェンダーが一生懸命に守ったボールを、シンプルにトップにつなげる。ディフェンダーからトップに直接パスできない状況なら、センターハーフや左右のハーフを経由してトップに届ける。大前提として、トップが前線にとどまっていなければこのカウンターサッカーが成立しません。この、大変にシンプルでベーシックな役割分担を遂行することが、チーム戦術を実行できるかどうかの試金石とも言えます。
小学生年代でトップに起用される選手の多くは、「上手な子」であることがほとんどです。そんな上手な子も、チーム戦術と役割を理解して前線にとどまれる子と、ボール欲しさに下がってしまう子に、はっきりと二分されます。前者は「サッカー」と評価され、後者は「球蹴り」と揶揄されることもあります。来年トレセンを受験する選手もいると思い、これを良い機会と考えてチャレンジしてもらいました。
■第1試合:vs 美竹SC
結果 1-4 負
本人たちの希望を聞き、トップには、カロ(前半)とケイ(後半)に入ってもらいました。
実は彼らにはこれまでもトレーニングマッチで「トップは下がらない」を指示していました。でも、まだまだ体に刻み込まれてないようです。両者とも、劣勢な自陣のボールに引き寄せられて、フラフラっと戻ってしまいました。また、たまに巡ってくるチャンスでも、気持ちが先走ってオフサイドを取られてしまいました。でもいいと思います。反復が大切ですし、なによりカウンターが成功したときの成功体験がまだ足りないのも事実です。じっくりとチャレンジしてもらいたいと思っています。
【得点者(アシスト)】
スザク(コウタ)
ディフェンスラインでボールを奪ったコウタがフィードしたボールが、スザクの足元に繋がり、この日唯一の得点が生まれました。
※この肝心なシーンに、毎度恒例、審判M氏のありがたきご訓戒を受けていて見逃しました、すみません・・・。上記シーンは、子どもたちに聞いたシーンを描写してます。あとでビデオ、見直しておきます!
【評価選手】
コウタ
DFラインの統率を試みていました。富ヶ谷SCの取り組むべき課題の一つに、積極的な声出しがあります。声も気持ちも大きい彼には、ぜひこれからも積極的な声出しを期待したいと思いました。彼についてはギリギリまでAチームにすべきか迷っていたのですが、Bチームのほうが出場時間が長くなり、またディフェンスの経験を多く積めるだろうと考えた上での編成でした。彼はその機会を有意に活かしてくれたと思います。
■第2試合:千駄ヶ谷A
結果 0-8 負
相手は、何度もメダルを獲得しているチームです。正直に言えば、ベンチの目線としては勝利することは視野の外でした。いかに失点を少なくできるか、みんなで守備、をテーマとして見ていました。
※もちろん、ワントップは前線に、は変えません。そうでないと永遠に終わらない袋だたきになるので。
前半だけで7失点。さすがの実力差に術はないかと思いました。しかし、後半は0-1と1点しか奪われていません。その1点も、ハンドを自己申告してディフェンス全員が審判に自主アピール(ちなみに審判は笛を吹きませんでした。素直な富ヶ谷SCらしいエピソードです。)して時間が止まり、その隙をつかれた失点です。
コウタがスーパーセーブを連発。ディフェンスみんなが強い気持ちで頑張った。強豪相手にみんなで守る、が後半に完全遂行できていたことは、この日一番の評価に値するゲームだと思います。
【評価選手】
ユウキ&リョウ
ベンチからのコーチングが素晴らしかったです。「カロ、下がっちゃだめ!センターライン」を連呼してました。チーム戦術を理解し、それを仲間に伝えること。それがベンチからできるのであれば、ピッチ内でも容易にできるということです。サッカーはチームプレーですから、このような姿勢はとても大切です。
■第3試合:千駄ヶ谷B
結果 0-5 負
千駄ヶ谷との連戦。千駄ヶ谷Bチームは主に2年生と3年生で編成しているとのことでしたが、全然どうして手強いチームでした。富ヶ谷Bは、開始早々1分で先制ゴールを奪われました。彼らは強いシュートも打てるし、パスをしっかりと有効に使いこなすチームでした。このゲームは下の学年との対決だったので、あえて浮き彫りとなった課題に触れておきたいと思います。
4年生は、プレーに明確な意思を灯しきれていません。自分のところにボールが来た後、なにをすべきかを感じたり、思考したりできていないと思います。余裕がないと言ってもいいと思います。なぜ余裕がないのか。それは個人戦術の欠如、ということになると思いますが、内藤としては戦術セオリーの前に、2つの基本的なスキルを伸ばすことが有効だと思っています。それは、”止めて”、”蹴る”、です。強いボールを狙った場所で止めることができる。そして、強いボールを蹴ることができる。この2つの能力を手に入れることが、立ちふさがっている壁をよじ登るために必要だと痛感しました。逆を言えば、その2つができたら、自分には明確な選択をすることができる感じてもらえる、ということだと思います。
これまで、Bチームには楽しくサッカーをする、ということにフォーカスを当ててきました。これからは、「楽しく、上手になる」をコンセプトに、指導をしていきたいと思います。
そして補強メンバーである3年生。彼らはすでに、”止めて”、”蹴る”はできています。でも、2年生、3年生で構成された千駄ヶ谷Bとの戦いで、3年生オフェンシブ勢には明確な弱点があることが浮き彫りになりました。それは、優先順の誤解です。パスボールより早く走れるドリブラーはいません。ボールを足元に収めた後、良いパスができる(良い位置に味方がいる)ならまずパスを選択するべきです。ところが、今の彼らはまずは突破のドリブルを試みて行き詰まったらパスをする、というアクションを本能的に行ってしまっています。パスで無効化できる相手選手を、わざわざ抜こうとしているわけです。パスの準備のために運ぶドリブルなら問題ありませんが、状況に関係なく突破のドリブルを先に試みてしまう癖がついています。突破のドリブルはチャレンジであり、難局を切り開くカードとしてとても特別なスキルです。でも、それはデフォルトの選択肢ではない。チームで行うサッカーという競技の本質に、近づけるかどうか、そのステージを迎えていると感じました。
【評価選手】
カロ
彼はこれまでの2戦で、トップの不自由さ、退屈さに涙をにじませていました(仮に格下相手であれば、大量得点を重ねて楽しかったかもしれませんが)。そもそも彼は、トップよりもミッドフィルダー向きの選手である可能性が高いです。パス、ドリブル、ゴールを狙うの複数の選択肢を持つことができる選手だからです。2戦を終えて、「やっぱりトップじゃなくてミッドフィルダーがいい、お願いします。」と希望を伝えてきました。「それはいいけど、そうしたら、選択肢として、シュートを狙う、パスをする、はそれぞれ半々ずつにできる?」と聞いたら「いやいや、シュートは狙わないから。絶対パスします。」と言いました。それはそれで極端でちょっと違うかなと思いましたが、トップとミッドフィルダーの役割の違いを体感した彼を、この試合ではミッドフィルダーにチェンジしました。その後カロは、トップのケイにシンプルな縦パスを披露します。結果には繋がりませんでしたが、彼の中でよいきっかけになったのではないかと感じました。
ケイ
一方で、ケイはトップにこだわりました(こだわってくれました)。得点を取るために、チャレンジングなドリブルを仕掛け、チャンスがくるまでオフサイドラインで忍耐強く待ち続ける姿勢を見せてくれました。オフザボールの動きと強力なロングシュート、センタリングやこぼれ球へのダイレクトシュートなど、必要な武器を手に入れることで、ストライカーの道を歩んでくれるのではないか。そんな期待を彼の小さいけど力強い背中に感じました。得点は、3年生大会まで持ち越しです。
■第4試合:トリプレッタ A
結果 0-15 負
これまで富ヶ谷Aチームと幾度となく火花をちらしてきた同チーム。このゲームは、実力差がありすぎて、正直まともなゲームをさせてもらえませんでした。ただ、そんなゲームでも、一生懸命戦う、心の折れない富ヶ谷SCはとてもまぶしかったです。
【評価選手】
セイノスケ
そんな試合です。ゴールキーパーとして、セイノスケは数十発のシュートを受け続けました。試合前、「とても強いチームだし、たくさん強いシュートくるよ。やっぱりキーパーやめておく?」と聞いたら、力強い表情で首を横に振りました。
彼はその勇気でゴールマウスに立ち、何発ものシュートをキャッチ、あるいは弾き続けました。富ヶ谷SCの根底に灯したい、素晴らしい姿勢を見せてくれました。
春季渋谷区民大会予選、4年生Bチームのふりかえりです。
4年生8人、3年生6人の14人で挑みました。
初戦の前に、選手みんなに今日はどんなサッカーをしたいかを聞きました。
何人かが「楽しいサッカー」と言いました。
「楽しいサッカーって?」と聞き返すと、チームワーク、という声がちらほら。内藤の問の答えの多くがチームワークだということを見越したふわっとした回答に、思わず笑みがこぼれます。
内藤からは、「楽しいサッカーにはチームワークが必要だよね。それともうひとつ。本気で挑むこと。そうじゃないと楽しめないよ。」と伝えました。昨年の4年生(現5年生)チームにも同じことを話していたことを思い出します。
チームワークの成立には、表面的にはたがいにケンカしない”和の精神”も一つのポイントですが、前提として明確な役割分担の共通認識が大切だと考えています。
今回は、全試合でフォーメーション3-3-1、堅守速攻(カウンターサッカー)の戦術プランをオーダーしました。
みんなで守りきり、あわよくばカウンターで得点を。これは弱者のサッカーと言われることもありますが、いまでも世界的に根強く採択される、”常にトレンディ”と言われる戦術です。
(今ではパスとドリブルで組織的に攻撃をビルドアップすることを目指しているAチームでも、かつて採用し勝利を量産していた戦術です。)
そう、今回のBチームには、かなり具体的な(とてもベーシックなものですが)チーム戦術を求めて望みました。実は前大会の決勝リーグで、Bチームのみんなに初めて、「トップ(フォワード)が下がってはいけない理由」を説明しました( https://tomigaya-sc.school.tm/news-detail/73 )。
1年の時が経ちましたが、ふたたびそのおさらいと応用にトライする4戦のチャレンジとなりました。
4年生Bチームはディフェンシブ(守備的)な選手が多いのが特徴です。そこで、3年生の補強選手は、GKとCBの得意なユキヤ以外の5名は、いずれもオフェンシブ(攻撃的)な選手を招集しました(リョウは今回もDFとして起用していますが、攻撃の起点となるボランチ的な役割を期待しての起用です)。
そんな3年生の多くは、試合の際はトップもしくはセンターハーフ(セントラルMF)を希望します。トップもしくはセンターハーフが、上手い選手、かっこういいポジションというイメージがあるためです。しかしながら、トップとセンターハーフの具体的な役割の違いを説明させようとすると、ふわっとした回答しか返ってきません(「えっと、一番前と、その後ろ」 etc)。
今回、3年生のオフェンシブ組のみんなには、その違いをはっきりと体感してもらおうと考えました。
それを理解するためには、堅守速攻の戦術プランは最適と考えています。
ディフェンダーが一生懸命に守ったボールを、シンプルにトップにつなげる。ディフェンダーからトップに直接パスできない状況なら、センターハーフや左右のハーフを経由してトップに届ける。大前提として、トップが前線にとどまっていなければこのカウンターサッカーが成立しません。この、大変にシンプルでベーシックな役割分担を遂行することが、チーム戦術を実行できるかどうかの試金石とも言えます。
小学生年代でトップに起用される選手の多くは、「上手な子」であることがほとんどです。そんな上手な子も、チーム戦術と役割を理解して前線にとどまれる子と、ボール欲しさに下がってしまう子に、はっきりと二分されます。前者は「サッカー」と評価され、後者は「球蹴り」と揶揄されることもあります。来年トレセンを受験する選手もいると思い、これを良い機会と考えてチャレンジしてもらいました。
■第1試合:vs 美竹SC
結果 1-4 負
本人たちの希望を聞き、トップには、カロ(前半)とケイ(後半)に入ってもらいました。
実は彼らにはこれまでもトレーニングマッチで「トップは下がらない」を指示していました。でも、まだまだ体に刻み込まれてないようです。両者とも、劣勢な自陣のボールに引き寄せられて、フラフラっと戻ってしまいました。また、たまに巡ってくるチャンスでも、気持ちが先走ってオフサイドを取られてしまいました。でもいいと思います。反復が大切ですし、なによりカウンターが成功したときの成功体験がまだ足りないのも事実です。じっくりとチャレンジしてもらいたいと思っています。
【得点者(アシスト)】
スザク(コウタ)
ディフェンスラインでボールを奪ったコウタがフィードしたボールが、スザクの足元に繋がり、この日唯一の得点が生まれました。
※この肝心なシーンに、毎度恒例、審判M氏のありがたきご訓戒を受けていて見逃しました、すみません・・・。上記シーンは、子どもたちに聞いたシーンを描写してます。あとでビデオ、見直しておきます!
【評価選手】
コウタ
DFラインの統率を試みていました。富ヶ谷SCの取り組むべき課題の一つに、積極的な声出しがあります。声も気持ちも大きい彼には、ぜひこれからも積極的な声出しを期待したいと思いました。彼についてはギリギリまでAチームにすべきか迷っていたのですが、Bチームのほうが出場時間が長くなり、またディフェンスの経験を多く積めるだろうと考えた上での編成でした。彼はその機会を有意に活かしてくれたと思います。
■第2試合:千駄ヶ谷A
結果 0-8 負
相手は、何度もメダルを獲得しているチームです。正直に言えば、ベンチの目線としては勝利することは視野の外でした。いかに失点を少なくできるか、みんなで守備、をテーマとして見ていました。
※もちろん、ワントップは前線に、は変えません。そうでないと永遠に終わらない袋だたきになるので。
前半だけで7失点。さすがの実力差に術はないかと思いました。しかし、後半は0-1と1点しか奪われていません。その1点も、ハンドを自己申告してディフェンス全員が審判に自主アピール(ちなみに審判は笛を吹きませんでした。素直な富ヶ谷SCらしいエピソードです。)して時間が止まり、その隙をつかれた失点です。
コウタがスーパーセーブを連発。ディフェンスみんなが強い気持ちで頑張った。強豪相手にみんなで守る、が後半に完全遂行できていたことは、この日一番の評価に値するゲームだと思います。
【評価選手】
ユウキ&リョウ
ベンチからのコーチングが素晴らしかったです。「カロ、下がっちゃだめ!センターライン」を連呼してました。チーム戦術を理解し、それを仲間に伝えること。それがベンチからできるのであれば、ピッチ内でも容易にできるということです。サッカーはチームプレーですから、このような姿勢はとても大切です。
■第3試合:千駄ヶ谷B
結果 0-5 負
千駄ヶ谷との連戦。千駄ヶ谷Bチームは主に2年生と3年生で編成しているとのことでしたが、全然どうして手強いチームでした。富ヶ谷Bは、開始早々1分で先制ゴールを奪われました。彼らは強いシュートも打てるし、パスをしっかりと有効に使いこなすチームでした。このゲームは下の学年との対決だったので、あえて浮き彫りとなった課題に触れておきたいと思います。
4年生は、プレーに明確な意思を灯しきれていません。自分のところにボールが来た後、なにをすべきかを感じたり、思考したりできていないと思います。余裕がないと言ってもいいと思います。なぜ余裕がないのか。それは個人戦術の欠如、ということになると思いますが、内藤としては戦術セオリーの前に、2つの基本的なスキルを伸ばすことが有効だと思っています。それは、”止めて”、”蹴る”、です。強いボールを狙った場所で止めることができる。そして、強いボールを蹴ることができる。この2つの能力を手に入れることが、立ちふさがっている壁をよじ登るために必要だと痛感しました。逆を言えば、その2つができたら、自分には明確な選択をすることができる感じてもらえる、ということだと思います。
これまで、Bチームには楽しくサッカーをする、ということにフォーカスを当ててきました。これからは、「楽しく、上手になる」をコンセプトに、指導をしていきたいと思います。
そして補強メンバーである3年生。彼らはすでに、”止めて”、”蹴る”はできています。でも、2年生、3年生で構成された千駄ヶ谷Bとの戦いで、3年生オフェンシブ勢には明確な弱点があることが浮き彫りになりました。それは、優先順の誤解です。パスボールより早く走れるドリブラーはいません。ボールを足元に収めた後、良いパスができる(良い位置に味方がいる)ならまずパスを選択するべきです。ところが、今の彼らはまずは突破のドリブルを試みて行き詰まったらパスをする、というアクションを本能的に行ってしまっています。パスで無効化できる相手選手を、わざわざ抜こうとしているわけです。パスの準備のために運ぶドリブルなら問題ありませんが、状況に関係なく突破のドリブルを先に試みてしまう癖がついています。突破のドリブルはチャレンジであり、難局を切り開くカードとしてとても特別なスキルです。でも、それはデフォルトの選択肢ではない。チームで行うサッカーという競技の本質に、近づけるかどうか、そのステージを迎えていると感じました。
【評価選手】
カロ
彼はこれまでの2戦で、トップの不自由さ、退屈さに涙をにじませていました(仮に格下相手であれば、大量得点を重ねて楽しかったかもしれませんが)。そもそも彼は、トップよりもミッドフィルダー向きの選手である可能性が高いです。パス、ドリブル、ゴールを狙うの複数の選択肢を持つことができる選手だからです。2戦を終えて、「やっぱりトップじゃなくてミッドフィルダーがいい、お願いします。」と希望を伝えてきました。「それはいいけど、そうしたら、選択肢として、シュートを狙う、パスをする、はそれぞれ半々ずつにできる?」と聞いたら「いやいや、シュートは狙わないから。絶対パスします。」と言いました。それはそれで極端でちょっと違うかなと思いましたが、トップとミッドフィルダーの役割の違いを体感した彼を、この試合ではミッドフィルダーにチェンジしました。その後カロは、トップのケイにシンプルな縦パスを披露します。結果には繋がりませんでしたが、彼の中でよいきっかけになったのではないかと感じました。
ケイ
一方で、ケイはトップにこだわりました(こだわってくれました)。得点を取るために、チャレンジングなドリブルを仕掛け、チャンスがくるまでオフサイドラインで忍耐強く待ち続ける姿勢を見せてくれました。オフザボールの動きと強力なロングシュート、センタリングやこぼれ球へのダイレクトシュートなど、必要な武器を手に入れることで、ストライカーの道を歩んでくれるのではないか。そんな期待を彼の小さいけど力強い背中に感じました。得点は、3年生大会まで持ち越しです。
■第4試合:トリプレッタ A
結果 0-15 負
これまで富ヶ谷Aチームと幾度となく火花をちらしてきた同チーム。このゲームは、実力差がありすぎて、正直まともなゲームをさせてもらえませんでした。ただ、そんなゲームでも、一生懸命戦う、心の折れない富ヶ谷SCはとてもまぶしかったです。
【評価選手】
セイノスケ
そんな試合です。ゴールキーパーとして、セイノスケは数十発のシュートを受け続けました。試合前、「とても強いチームだし、たくさん強いシュートくるよ。やっぱりキーパーやめておく?」と聞いたら、力強い表情で首を横に振りました。
彼はその勇気でゴールマウスに立ち、何発ものシュートをキャッチ、あるいは弾き続けました。富ヶ谷SCの根底に灯したい、素晴らしい姿勢を見せてくれました。